2011年9月24日(土)
リニューアルの予定
台風の日は外へ出るなという格言があるかどうかはともかく、一歩も出られたものではな く、通り過ぎるのをただ待つのみでありました。一夜明ければそれなりの爪痕(雨戸が1 枚とばされていたりとか)が残っていて、後片付けに追われたのでした。
早や、9月も下旬になってしまい、目前のあれやこれやの仕儀が増えて、時は止まってく れない。ううむ。
ということで、何の言い訳にもならないことながら、更新パス。近々HPをリニューアル の予定にて、その遅々として進まなかったものをカタチにするために勤しんでいるわけで あります。ご容赦。
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○このところの読書 
「バルバラ異界」 全4冊 萩尾望都 小学館 2003初版〜  SFの愉楽に浸かり、美しい 描線に和んでいられる幸せ。青羽とキリヤと彼らを取り巻くキャラクターの見事さにため息 吐息。
「全身翻訳家」 鴻巣友季子 2011 ちくま文庫  クッツエー、アトウッド、ウルフなど の訳でお馴染みの鴻巣氏のエッセイ集。子供のころからの本まみれで、なるべくしてなった 職業とはいえその苦労のほどが垣間見られるだけではなく、とてもためになる?お話もあっ たりしました。「酒は深くて容赦がない」とか、翻訳囚人(!)が孤独でも寂しくないのは、 つねに原書を通して作者の存在を感じているからかもしれない。(「六万時間の孤独」より) 

2011年9月17日(土)
残暑
残暑がはなはだしく厳しい日が続いていて、げんなりするこの頃。夕方になると、向かい の家の屋根に、気持ちよさそうに寝ているキジ猫がいて、シャッターチャンスを狙ってみ てもそううまくはゆかず。夢のまにまにズリ落ちたりしないものかと要らぬ心配をしてみ てもはじまらず。
ということで、更新は(パッとしない)フランス文学を少し手直ししたのみであります。 残暑のせいにして。

ある日の予定がキャンセルになったので、久々に映画館へ。家から20分くらいという近場 の集合施設の中に、新刊書店のような映画館(今売出しの大作をメインに見せる作り)が あって、「ツリー・オブ・ライフ」と「ゴーストラーター」で迷ったものの、時間的にち ょうど良い後者を選ぶ。元英国首相の回顧録を執筆することになった男。自らをゴースト と名乗り、冷たく閉ざされた孤島(別荘)へ向かう。冒頭の、夜の雨の中を何台もの車が 通り過ぎやがて1台の車が取り残される、というこの始まりの緊張感から、過去の空白の謎 解きや追跡してくる車や怪しい人物なども、結局肩透かしで終息する。この物語への裏切り 行為?ともとれる展開は、しかし何とも魅惑的でこれぞポランスキーの職人ワザ、、と感嘆 したのでした。出演者はほぼイギリス人。制作サイドはほぼフランス人、撮影場所はドイツ 、という、アメリカを永久追放された監督の気概(意地か)も窺える気がしたのだった。

2011年9月10日(土)
記憶力
マイリンク疑似科学小説集「標本」が、またしても品切れか、というところで、追加分が 届くことになっています。E・プヒプヒさんの勢いに乗じて新刊書取扱店と化しています が、古書も(!)扱っているわけでもあり、久々に新入荷を7点ほど更新しました。、、、。
先週末に高校のクラブの同窓会(社研)があり、少人数での昼食会となる。数十年前とはい え、記憶力の差をまざまざひしひしと実感。各々の思い出のカケラは、ジグソーパズルのよ うでいて、記憶力の優れた人はすべてを掌握している、、。当方は切れ切れもいいところで、 今はなき木造の図書館(歩くたびに床がきしみ、茶色に変色した本ばかりが目立った)とか、 文化祭で武田信玄の顔を看板に描いたこととかで、恩師や友人の誰それの名も一向に出てこ ない有様。人間関係はそのころから希薄だったということかも。ううむ。

2011年9月3日(土)
弱者の思想
早くも在庫切れとなってしまったE・プヒプヒさん4点の追加分が、昨日午後に入荷しまし た。お待ちいただいた方に陳謝。今更ながら、見識不足を反省中、ではあります。

数日前の朝日新聞一面下段の広告に、白水社/作品社/講談社文芸文庫、が出ていて目を引 く。「デニーロ・ゲーム」「盆踊り 乱交の民俗学」、川崎長太郎/木山捷平/吉田健一/等 の復刊文庫など。この小枠の情報は貴重で、見過ごしてしまうと後で思い出すのに苦労す るのだった。斎藤美奈子氏の文芸時評「逃げよ、生き延びよ」を読む。冒頭の、フェミニ ズムは(中略)弱者が弱者のままでいい社会をつくる思想のこと、とある。弱者の選択肢 は、逃げることのみなのか、果たして。

2011年8月27日(土)
不調和音
ちょっとした事件があったのだけどそれは置くとして、Vistaが不調さを増し、家人の体 調も後退気味にてその対応に追われ、家の雨戸はよく閉まらなくなった。雨で不調になる から雨戸?の訳はないのであって、長年の軋みのなせる業でありましょう。
と、そんな愚痴はともかく、E・puhipuhiさんから既刊書4点が入荷しました。ヘルマン・ ヴォルフガング・ツァーン「ヴァルミュラーの館」は、ホフマン流の怪奇趣味を濃厚に受 け継ぐ幽霊屋敷譚、との由。スイスの幻想作家、モーリス・サンド。シェーアバルトのセ ルバンテス(オマージュ?)等、興味深い訳出ばかりかと思われます。限定部数ゆえ、お 見逃しなく。
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○今週の読書
「センセイの書斎」 イラスト・ルポ「本」のある仕事場 内澤旬子 河出文庫 2011   河出文庫新刊「チリの地震」を見に行って目に入り、購入。1999年から2006年までに訪れ た31点のイラストルポで、何より詳細なイラストが素晴らしい。柳瀬尚紀氏の書斎には、 その昔書店員のころに上司のお供で伺ったことがあり、(確かブックフェアの企画の相談) 、本に圧倒されつつも、大きな猫に目を奪われたことが思い出されたし、上野千鶴子セン セの、ア行からの収納術は、J書店での棚の並べ方論争?を思い出したりしたのでした。 一番驚いたのは、ブルトンのシュルレアリスム宣言のサイン入り!を所有されている西江 雅之氏だった。すごい、、。で、イラストを充分味わうには単行本(2006、幻戯書房)を 見るに限るのだけど、どこかに紛れ込んでしまって出てこないのだった。本末転倒はなは だし。

2011年8月20日(土)
ぴあ最終号
木曜日までは灼熱地獄の有様だったものが、翌日には集中豪雨(朝方、玄関から出たとた んにびしょ濡れ状態)で、急転直下の変わり様、のこの頃。
そういえば、ぴあの最終号が出て、買っとかないとヤバイ感?ありでゲットしたものの、 安心感でつい放置したままになっていた。改めて見てみると、やはり懐かしさがにじみ出 てきて、その昔ぴあを片手に映画館行脚をしたころが思い出されるのでした。“表紙イラ ストでふりかえる洋画40年史”をしみじみとながめる。表紙画の及川氏は「アリスの恋」 (1974年スコセッシ)が1番か2番に好きとの由でちょっと驚く。先取りロードショーや映 画館スケジュールにしばし釘づけ状態、なのだった。

新刊ご予約承り中の「アンソロジー 菫色の文法」は、近日中に入荷予定となります。宝 石箱のような華麗な箱の中には驚くほどのオマージュの数々。ルネ・ヴィヴィアンがお好 きな方にはお薦めです。
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□今週の映画(フランス映画篇)
「ずっとあなたを愛してる」2008 仏/独 フィリップ・クローデル監督  服役していた 元医師の姉を迎える妹。なぜ服役していたのかという理由はなかなかわからず、妹の家族 に徐々に馴染んでゆく様子は、生き返るようでもあり、哀しみが緩和されてゆくようでも ある。人気作家の初監督作品との由。B+
「すべて彼女のために」2008 仏 フレッド・カヴァイエ監督 (美しい)妻がある日突 然警察に拘束され、その濡れ衣を晴らすために、平凡な教師の夫が脱獄の極意を書いた著 者に教えを乞いにゆき!試行錯誤の末にですね、やってのけちゃうんですわ、これが。う 〜ん。奥さんが美しい。B
「華麗なるアリバイ」2008 仏 パスカル・ボニツェール監督 上院議員の一族のパーテ ィ。プレイボーイの息子(だっけ?)が殺されるんだけど、犯人は誰か。アガサ・クリス ティの「ホロー荘の殺人」の映画化。男女8人の犯人探しというよりコミカルな群像劇? 風でもあった。B
 と、偶然にも2008年の作品ばかりでしたが、タイトルをもう少し何とかならないものか、 これでは内容が思い出せないじゃないか(「ピアニストを撃て」とか「哀しみのトリスタ ーナ」とか「隣の女」とかって)と、勝手につぶやいてしまうのだった。

2011年8月13日(土)
またしても酷暑
数日前よりPC(Vista)の機嫌が悪い。購入して3年を過ぎたところだけど、思え ばとても手のかかる悪ガキ!的理不尽さをよく発揮してくれて手に余り、Win7を新た に購入したのだった。数か月前に、不具合を是正してもらうため、メーカー修理(5年保 証期間中だし)に出して、戻ってきたというのに、数日前より再起動をしなくなってしま った。ううむ、なんで?暑さのせい? 起動させると時間をかけて立ちあがってくれるも のの、ダウンロード後の再起動中に眠って?しまうのだった。むむむ。
ちくま連載の、保坂和志氏「寝言戯言」より、−いつのころからか私たちは望んでもいな い利便性を一方的に押しつけられて、それを享受させられるはめになった。−
という、氏にしてはめずらしく?ハイテンションな勢いで書かれていて思わず頷いてしま う。(短命Vistaは、買う間が悪かったということか) まあそういいながら、スマ ホの誘惑?に片耳だけ立っている?わけだけど。

2011年8月6日(土)
ピンポイント豪雨
先日は、即日新刊UPという、当方としてはめずらしい早ワザ(時間があったというだけ ですが)と自画自賛しているまもなく、注文矢つぎ早!1点のみ集中にてちょっとあたふ たしました。
翌々日の木曜日は、またしても朝から病院詰めのパターンで時間が取れず、メール連絡等 でご迷惑をおかけしました。改めてお詫びいたします。
それにしても突然の驟雨(郵便局までは無事で、その後廻ったドラッグストアで降り出し、 傘があってもびしょ濡れ状態となる)に2度もあってしまう。ピンポイント豪雨というそ うだけど、凄まじいものがありました。やれやれ。しかも、夕方の予約だった病院での頭 にくる出来事(3時間を過ぎても順番が来ない!ので処方箋のみもらってくる)で、ぐっ たりと疲れて帰宅したのでした。
それにしてもさすがのエディション・プヒプヒさん、「青い彼方への旅」好調です。
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○今週の読書
「批評の事情」 永江朗 2001年 原書房刊  永江氏は故あって敬して遠ざかるパター ンではあるのだけど、これはずるずるとあっちこっち読みをしたのでした。90年代にデ ビューまたはブレイクした批評家40名についての考察。宮台真司から坪内祐三まで、東 浩紀、柳下穀一郎、切通理作、佐々木敦、斎藤美奈子あたりがお薦めかと。コラムの「G Sの仲間たち」などもう少し掘り下げてほしかった気もする。副題のー不良のための論壇 案内ーというのは意味がわからない、気がしたのでした。

2011年8月2日(火)
新刊3点入荷
新刊が久々に本日入荷しました。シュヴァンクマイエルが「怪談」の挿絵?という眉唾的 興味?で、挿絵 しかし見ずにいられない本ではあります。描き下ろしの22点、エルンストの 「百頭女」のコラージュロマンを思わせるようなコラージュ作品です。驚きの一冊。

「青い彼方への旅」は、ドイツロマン派、ティークの後期の作品。原題の直訳は「古い本 とあてどない旅」となるそうで、これはまた読みごたえがありそうです。とてもシックな 造本。ビブリオテカ・プヒプヒ第14巻、久々の入荷です。
「世界文学と名何か?」外文好きの読者が果たして手に取るだろうか、という今更の疑念 は置くとして「毒の書物」とは一体、、。

2011年7月30日(土)
目録月間
早くも月末。今月半ばあたりから目録攻勢がつづき、都内ばかりでなく、京都、青森、百 貨店では、池袋、新宿、渋谷と、雪崩を打って?これでもかとばかりの攻勢。外出できず にいるせいもあってほぼすべてに目を通してなぎ倒して?しまおうと思いつつ、あちこち で躓いて在庫を調べたりしてしまう。結局、いくつかは注文に走り、多くは見送り、残り は保留のまま期限切れとなるのだった。引き出しの多さを競うとするなら、かなり目減り している昨今、せめて欲深の量感?を持たせたいものである。
新刊では、ユルスナールの自伝三部作とか、シュヴァンクマイエル挿絵入りのハーンの 「怪談」!とか、目を引くものもいろいろあって、ボケッとはしていられない、訳ではあ る。
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□最近の映画(やめればよかった邦画)
「笑う警官」 2009 東宝  角川春樹監督  よくあるTvドラマとどこが違うのか。 出演者名がすべてローマ字なのはなぜか。松雪泰子の声が低すぎて聞き取れず、話の展 開を追う気も失せる代物であった。C
「フラワーズ」 2010 東宝  これは他のものと間違えてみてしまったのだけど、女 優陣の時代別オムニバスで、TVCM?というくらいのつまらなさであった。C 「南極料理人」2009  堺雅人の料理の腕はどれほどだか知らないけれど、南極という だけで「遊星からの物体X」(最近再見した)を思うのみ。C
よほどの暇人と疑われますが、この半年くらいで見た邦画のうちの3点で、「劇場版  TRIC 霊能力バトル」 2010 東宝 の、霊能力者大会!が結構面白かったのでは ありました。まあB

2011年7月23日(土)
あれこれ
火曜日:またしても定期健診。漢方の先生の本(とりあえず買ってみた)と、古通(古書 通信)と届いたばかりの古書目録、ちょっと参考にしたい料理の本と文庫1冊の欲張り計5 点を持参して長距離に備える。診察があっけなく済んだので、タリーズ珈琲をのみながら 読書。漢方本はほぼクリア。しかし読みたい記事は載っていない(食物の規制についての 項目なし)のだった。肩透かし。目録は1点のみ引っかかり、料理本は頭に入らず、帰りは 古通と文庫本に集中。余波?でハンズに立ち寄るも小雨の中、大した買い物はできずに帰宅。 金曜日:このところの涼しさに気を良くして(家人も留守のことだし)せっせと仕事を始め る。灼熱地獄気味だった倉庫の整理。風を通し、足の踏み場を確保する。で、昼過ぎに振替 用紙が届き、入金の確認。注文発送作業を言い訳に、古書展行きを断念。久々の仕入だとい うのに残念至極、なのだった。
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○今週の読書 「日々のあれこれ」目白日録4 金井美恵子 2011/6/30 朝日新聞社  2009年の静岡での 強い地震の時、千冊近い本で圧死した女性がいたという記事について、−そう言ってはなん だけれど、絶対にこいつの本で圧死はしたくないという本がある。もっともそういった本は 家にはまずないが。− という“冴え渡る意地悪さ”(帯の背に書いてあった)を、ゆっく り読むという至福に浸り中。

2011年7月16日(土)
消費の夏
連日の暑さでかなりバテ気味のこの頃。溶け出してべとついたアイスクリームのよう(?) に、ドロップアウトができたら、コアなミステリ?でも読みふけっていたいものでありま す。
地デジ化寸前で、アナログを見捨てて家人用のTVを購入。ほんの1年前に買ったのと同じ型 (20インチくらいでHDD録画可能なもの)はすでにないとの由。なんで? それと、長年使 っていたガスコンロを買い替え、家人の補聴器もまた“聞こえなくなった”との由で、買 い替え。耳穴式から耳かけ式へ。携帯電話のように日々新機能が開発されているというこの 精密機械は、高額かつ短命なことには変わりはない様子。消費の夏はいつまで続くことやら。
新入荷を5点、と思ったものの暑さ負けにて3点のみ。すべてビジュアルのシュルレアリスム ということで、そちらにUPPしました。メレット・オッペンハイムの強靭な美しさと、変幻 自在なエルンスト。スワンベリの表紙によるドゥアルムの本、となかなかに魅惑的な3冊かと 思われます。
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□今週の映画
「パリ20区、僕たちのクラス」2008年 仏 ローラン・カンテ監督 カンヌ、パルムドール 受賞。様々な人種(移民)からなる24人の中学生クラスの授業風景。国語教師フランソワ (この人の原作、実体験!)の熱意ある説得?にもかかわらずモンスターの子供たちは屈し ない。ドキュメンタリーのような迫力はある意味信じられないほどのリアリティを持って迫 る。最早大人も子供もない。A 
「タイタンの戦い」1981年版 デズモンド・デイヴィス監督 ペルセウスの冒険。ペガサス やメドゥーサなどの造型がクラシックで何とも味わい深い。先ごろのリメイク版のスペクタ クルとは大違い(見てないけど)の愛すべき作品。A 
「ボディ・スナッチャーズ」 1993年 アベル・フェラーラ監督 リメイク3作目だそうで、 身体を浸食され乗っ取られるというシチュエーションは、SFの常道?的な人気?なのか。フ ェラーラだけに気色悪さが増幅されて、避暑向きかも。B+ 1950年代のドン・シーゲルの作 品を観たい。

2011年7月9日(土)
漢方薬の効能
化学療法の副作用で、足先の痺れと低体温が一向に良くならない。1年ほど前から、18種類 もの漢方薬をブレンドしたものを煎じて飲んでいるけれど、改善されず。で、“違う”漢 方医を紹介され、受診。人気だそうで待つこと2時間半。“待ち”が苦手な性分としては 限界を超えつつあり、帰ろうかと腰を上げかけたところでやっと診察。牛乳、生野菜、酢 の物、果物、を摂らないように、とのこと。前2つは分かっていたけれど後の2つは寝耳 に水で、絶句。う〜む。せっせと人参&りんごのジュースをのんでいたのがアダになると は、、。で、3種類の漢方薬を毎食前と、就寝前に1種類をお湯で溶かして飲むようにと 言われる。生薬について詮索研究する熱意はなく、言われるままというのも情けないよう な気がするけれど、効能を待つ、しかなさそうではあります。

2011年7月2日(土)
森をめぐる
月曜日:先々週に受けた検査結果を聞くために病院へ。落ち着かない気分で待ち時間を過 ごしたけれど、結果は変化なしなので年に1度の様子見で大丈夫との由、安堵。その勢い (?)もあって、帰りに“森と芸術”展へ行く。とても久しぶりの、アール・デコの館、 庭園美術館へ。第1章の、楽園としての森、の充実度に驚く。フォンテーヌブローの深い森 に、ドレの天使たちが降り立ち、赤ずきんがいるような妄想?が生まれる。ゴーギャンや ルソーの楽園。何気なく置かれている、梟や兎の置物がエミール・ガレの作品だったりと 発見を楽しんでしまう。様々な森をめぐる作品(物語)は、思いがけない出会いがありそ うな気配濃厚。最後の、日本列島の森、までゆくべきだったか、あるいは一抹の物足りな さが残った。小雨の中、庭園を一巡りして帰る。
本日の更新は、半年ぶりくらいの“幻想文学”。なんと1点しか売れていないけれど、3点 ほど追加。はたしてどこに入っているでしょうか。う〜む。
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○今週の読書
「おいしいパリ暦」 稲垣由紀子 2011/阪急コミニュケーションズ
 まさにフランスの食の歳時記。季節感あふれる食材を、身近に発見する喜びが伝わって きて感動してしまう。ーお上品なフランス人は魚というと鮭やタラの切り身ばかりで、イ ワシを丸ごと焼いて嬉しそうに食べるのはスペインやポルトガル人ーとのこと。そんなパ リでもコルシカ出身の店があって「イワシのファルシ」を食べられるとの由。常に携帯し ておきたい本、かも。
「死んでも何も残さない」 中原昌也 2011/新潮社
<書きたくて書いているんじゃないことしか書きたくないことが、どうしてわかってもら えないのか>って、意味わかります?はいはいと相槌を打ちつつ、延々と続く愚痴を聞い ているようなものだけど、この映画少年は、それこそ何気なく見ていた映画がガゼン面白 くなって病み付きになってしまう、みたいな摩訶不思議な魅力を秘めている、気がする。 この半自伝的小説(?)が談話を構成(編集者が)したものというのも、すごい。
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